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自衛官候補生の面接担当経験のある自衛官に、採用に当たって重視している点について聞きました。
自衛官に興味がある方、面接試験を控えた方向け
最も重視されるのは団体行動、団体生活に馴染めるか否か
面接の重視事項
面接官は志望動機より団体行動に向いているかどうかを判断する
新隊員教育期間中の離職率は高め
体力面より性格重視
自衛官候補生と一般曹候補生の面接を担当した経験がある自衛官に話を伺ったところ、面接で最も重要視するのは団体生活に馴染めるかどうかでした。
特に新隊員教育隊での離職率は高く、平均3-8%は様々な理由で退職するそうです。
これは他の行政職公務員とは比べ物にならない程高く、採用する側としても悩みのタネでした。
「国のためとか、防衛に興味があってとか、災害派遣で活躍する自衛官を見て自分も同じように貢献したい等、凄く熱意が伝わる志望動機を伝えてくれる志願者は多いけど、実際に入隊して団体生活に馴染めず辞める子は多いんだよね」
今回取材に応じてくれた方が残念そうに仰ってました。
だからこそ面接では集団の中でもしっかりと自己主張出来るか、プライバシーのない生活へのストレス耐性はあるかを必ず確認するとのこと。
学生時代に体育会系の部活をやっていたりするとポイントが高いのも、上下関係と集団行動をある程度理解していると思われるからだそうです。
教育期間中は週末の外出時間以外、ほぼ常に誰かと一緒に行動するので、学科の成績が良くても協調性がなさそう、団体生活に向いてなさそうと判断されると落とされることもあるとか。
体力面はどうなんですか?と聞くと
「勿論体力はあった方良いですけどね。ただ体力は後からでも鍛えれるけど、性格的なものはそう簡単に変えられないし、本人も辛い思いするから無理そうだと思ったらお断りしています」と答えてくれました。
20後半から30歳で入隊する人に求めることは?
「新隊員教育隊はゼロをイチにする課程なので、寧ろ事前知識がなくて素直な子の方が伸びやすいんです」
採用年齢が伸びて社会人経験がある方が入隊するケースも増えてきました。
「10個くらい年が離れてると話も嚙み合わず、同期なのに年上だから言う事聞けって。そりゃ18の子と30の人が同じ部屋で寝泊まりするのでトラブルもあります。大人の余裕を見せてくれると助かるんですけど、訓練最盛期に入ると余裕がなくなる事が多いみたいで」
だからこそ年上なら面接では無難な答えで良いので、協調性があって面倒見があると採用する側としても助かるとか。
「寧ろ一般社会を経験している分、最初の教育期間さえ乗り切れば続けて陸曹になってくれる人が多いと思います。」
面接にあたっては縁の下の力持ち、又は面倒見があると言われるという点でアピールしてくれると、役割をこなしてくれそうと思われるとの事。
妻子持ちは要注意 簡単には営外に出られない
「以前妻子持ちは教育隊が終わるとすぐ営外(駐屯地外居住)に出れたのですが、色々あって任期制隊員は1任期(陸は2年)経たないと営外居住の
許可が下りなくなりました。
これを知らないで入隊して奥さんや親御さんに猛反発されて退職した方もいます」
自衛官は通常営内(駐屯地内)居住を命ぜられます。
しかし結婚や扶養、または階級や年齢に応じて営外居住の許可を所属の部隊長から得る事で営外居住が認められます。
具体的には
営外居住について
- 幹部自衛官
- 曹長、1曹以上
- 30歳以上2曹以上
- 扶養親族がいる
- 結婚し家族を扶養する必要がある
自衛官の居住場所に関する訓令 (mod.go.jp)より引用
上記に該当すれば営外居住が認められるのですが、1任期目はこれが通りません。
自衛官として必要な素養と資質を習得するという名目で営内居住を義務付けられます。
この事を知らずに入隊し、部隊配属後に妻が妊娠し子供が生まれるので早く営外に出たいと申請しても通らず、上記のように退職したケースもあるそうです。
面接を突破するために
参考
団体生活に関するエピソード
年齢が上なら面倒見のよさをアピール
必ずしも体力会系である必要はなし
嘘はダメ
妻子持ちは後から後悔しないように事前によく相談する
今回取材に応じて下さった現職の自衛官に感謝いたします。