目次
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職種紹介は陸自ナビクマの勤務経験に基づき、これから自衛官を目指す人に向けて書いています。
少々偏見も混ざっていますがご了承ください。
需品科の役割
参考
水、糧食の補給
燃料の補給
需品の補給
需品器材の整備
入浴、洗濯
空中投下
出典【陸上自衛隊】
需品科の部隊には水タンク車が配備されています。
この車両には5tの水が積載可能であり、隊員への飲料水として配られる他、災害派遣においては断水地域への給水支援、PKOでも多国籍軍等に対し給水業務を行いました。
写真にある浄水セット逆浸透型は、逆浸透濾過膜という特殊なフィルターを用いて汚れた水をほぼ純水のレベルまで浄水します。
東日本大震災においても川の水を浄水し、隣接する入浴所で使用していました。
弱点としては圧力が足りないために海水を浄水出来ないという欠点がありました。
こちらは逆浸透2型で改善されていますが、安定して真水を供給するのは難しく今後の課題になっています。
耐久食材は通常のトラックでも配送できますが、冷蔵、冷凍が必要な物は専用の車両を使用します。
特に被災地において電気が使用できない状況でも、車載の燃料で冷やせることから食料運搬には欠かせない車両との事です。
また被災地で炊事車を用いて炊き出しを行う事がありますが、炊事は他部隊が実施し、需品科の部隊は食材の配送を受け持つ場合が多いそうです。
出典【陸上自衛隊】
部隊が行動する上で最も重要なのが燃料です。
需品科の部隊では燃料タンク車を運用し車両や器材への給油を行います。
燃料タンク車だけでなく、専用のドラム缶をトラックに積載し運用することも。
需品の補給は広範多岐に渡ります。
隊員が普段使用する被服、靴、作戦時に使用する鉄帽や手袋等も需品として扱われています。
野外における発電機整備等、需品器材の整備も担任します。
ニュースでもよく取り上げられる自衛隊の野外入浴セットです。
需品科の部隊が運用し、6~7人で3時間で組み立てるそうです。
実際に携わる隊員からは大変だけどとても楽しくやりがいのある仕事だと聞きました。
またトレーラーに洗濯機を載せた洗濯セットという特殊な装備品もあり、東日本大震災では特に活躍したそうです。
行方不明者の捜索で泥濘地に入りボロボロになった戦闘服が、次の日には洗い立ての状態で戻ってくるのを見て、現場では大いに士気向上したそうですよ。
空中投下業務は補給品にパラシュートを付けて、航空機から投下する業務です。
需品科には落下傘整備隊という部隊もあり、落下傘(パラシュート)の整備、点検も行うほか、自分で整備した落下傘で飛ぶことも!
需品科の良い所
ポイント
多種多様な業務
戦闘職種に比べ体力的には楽
女性自衛官が多い
第1空挺団への道もある
災害派遣で感謝されやすい
PKOにいきやすい
前半部で紹介している通り、様々な補給品を取り扱うことから業務にマンネリを感じにくいとの声がありました。
戦闘職種に比べれば体力面ではかなり楽な方です。
女性自衛官ならではの業務(女湯の入浴支援など)もあり、需品科部隊には女性自衛官が多く配属されます。
落下傘整備業務があり、空挺団への配属も希望し降下課程をクリアすれば開かれます。
災害派遣では給水は勿論、入浴サービスも被災者の方々と直接接することから、ダイレクトに感謝されやすいとの事です。
自衛隊の多様な任務でも直接感謝される機会はあまりなく、感銘を受ける隊員も多いそうです。
海外でも補給業務は必須なため、需品科の隊員はPKOに参加しやすいというメリットもあります。
PKOに優先して派遣されやすいため、海外で勤務してみたい隊員にも人気です。
海外の風土、文化に触れると共に、多額の手当が付きます南スーダンの場合日額16,000円。
加えて国連から手当が支給され、更に派遣期間に応じて国連休暇も付与されます。
近隣の国に公費で観光出来るという至れり尽くせりの状態。
更に食事、住居、医療費もタダで、おやつも支給されます。
半年で約300万プラス給与と賞与です。
勿論国外の駐屯地ということもあってストレスのはけ口が少ないため、人間関係には特に気を遣うというデメリットもあります。
現職に聞いてみた。需品科のメリットデメリット
メリット
メモ
人員が少ないため、人より優れている部分で目立ちやすい
災害派遣で感謝されるだけでなく、他部隊からも感謝されやすい
演習は比較的楽
人より秀でているモノがあるとそれだけで目立ちます。
戦争がない時代で人の為に一番役に立てると思ったのが災害派遣だった、と答えた隊員もいました。
必要としている部隊に必要なものを届けるのが仕事なので、他部隊からも感謝されます。
デメリット
メモ
自衛隊ぽくない
需品科の中でも民生支援に携われる人とそうでない人に分かれる
配属先により支援内容が変わる
普通科に比べるとメリハリがない
体力練成しにくい
演習は楽だが支援が長い
代休がたまりやすい
世間一般に思われている自衛隊のイメージと違った、との声が多かったです。
需品科の部隊は恒常業務(常に実施する必要のある業務)を多く抱えているため、全員が災害派遣に参加できるわけでありません。
またいつも緩やかな雰囲気のため、スイッチのオンオフがないという意見もありました。
人員が少なく忙しいため普通科に比べると体力練成の時間は取れないです。
演習以外にも需品科は支援が多くあります。
演習場整備での入浴支援、燃料支援、糧食支援や広報活動での装備品展示などです。
特に広報活動は土日祝日にあることが多く、代休がたまりやすいが消化しにくいとの声もありました。
需品科に入るには
参考
需品科部隊がある駐屯地で前期教育を受ける
適性と成績
人気が高く全体の2%しかいない
どうしても需品科になりたくて入りなおした人も
自衛官候補生であれば前期教育の際、駐屯地内に需品科の部隊がある所を選ぶことで入りやすくなります。
〇〇普通科連隊で前期教育を受け、同駐屯地内に〇〇補給隊(需品科部隊)があると希望すれば通ることがあります。
適性検査と成績は重要です。
多くの場合需品科の適性はあるので、教育隊での成績が良ければ希望が通ることが多いです。
需品科隊員は全体の2%以下の狭き門です。
また人気も高いため再入隊で需品科に入った方もいるそうです。
まとめ
需品科は多種多様な補給品を扱う
災害派遣やPKOに参加しやすい
自衛官ぽくない
体力的には楽だが狭き門
女性自衛官多い