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新隊員教育隊での出来事は陸自ナビクマの勤務経験に基づき、これから自衛官を目指す人に向けて一部脚色して書いています。
少々偏見も混ざっていますがご了承ください。
前回のお話はこちらから
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【適性が全て】新隊員教育隊その6適性検査
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【まず姿勢から】射撃予習
適性検査も終わると訓練にもかなり力が入ってきます。
「間もなく実射訓練も実施される。君たちも大分自衛隊に慣れてきたと思うが、実弾訓練は特に危険を伴う。これまで以上に班長達の説明をよく聞いて臨んでもらいたい。」
いつものように朝礼で区隊長から注意喚起がありました。
「おいっ、ナビクマちゃんと話聞いてるのかっ!」
射撃訓練は事故にもつながる訓練です。
教官達も注意力散漫な隊員には当たりが強くなります。
そして自衛隊で実施している伏撃ちと膝撃ち(しゃがみ撃ち)について学ぶことになりました。
射撃姿勢
新隊員では2つだけ
伏撃ち
膝撃ち
【出典】陸上自衛隊
上の写真が伏撃ちの姿勢です。
両手の位置、肘の角度、手には支えるくらいで力は入れない。
足の開き方、肩付け、頬付け、照門から照星、標的への見方等、射撃姿勢に関わる様々な要素を叩き込まれます。
射撃には姿勢、見出し(照準)、撃発の3要素があり、特に姿勢と見出しは重要です。
姿勢が安定していないと、撃った後の反動で体の軸が簡単にブレる為、再度見出しが安定するまで撃てなくなります(撃っても当たらない)
射撃が当たらない方は、姿勢が悪いか、見出しが悪いか、両方悪いかです。
自分の癖は中々わかり難いため、射撃予習の時間を活用し班長に必ずチェックして貰うのをおススメします。
【出典】陸上自衛隊第3普通科連隊
こちらが中間姿勢、膝撃ちです。
膝撃ちは伏撃ちより難しいです。
伏撃ちは地面に伏せた状態で射撃するため、反動を吸収しやすく次弾の射撃もスムーズに移行することができます。
対して膝撃ちは伏撃ちに比べると不安定な姿勢となるため、発射後の姿勢の回復と再見出しに時間がかかります。
新隊員の射撃訓練では時間制限はありませんが、部隊配属後は時間制限がある為、よりシビアな状況での射撃となります。
射場でのルール
射場規則
走らない
銃は指定位置
射座では指示された事以外やらない
射撃予習が終わり、いよいよ射場で実射する日が近づいてきました。
班長達もかなり力が入っており、気が抜けているとすぐ罵声が飛んできます。
そして前日、教官から射場でのルールについて説明を受けました。
「いいか。これから射場での規則について話をする。前提は絶対守れ。今はTPOが煩くなっているが俺は射場ルールを守らないやつは頭叩くし、グーで殴るからな。」
とにかく気合が入った状態の教官。
班長達も同様に強い口調で理由を教えてくれました。
射撃訓練中の銃乱射事件
銃乱射事件
2士が所持していた小銃を乱射
同僚に当たり1名死亡、3名重軽症
2士はその後ジープで逃走
直属の班長だった2曹はその後自殺
精神状態が不安定だった2士が射場で銃を乱射し、同僚が死傷するという事件がありました。
乱射した2士は射場に駐車していた小型ジープで逃走。
ジープにはカギがついたままだったそうです。
重度のうつ状態にあったとして2士は起訴されず、精神病院へ入院することになり、直属の上司だった2曹はその後自殺しました。
この事件以上自衛隊での射場規則が見直され、車のカギの保管、弾薬の管理、銃の管理がかなり厳しくなりました。
このような事件を二度と起こさないように、ルールは必ず守ってくれと熱く語ってくれました。
【出典】陸上自衛隊富士駐屯地
【いざ本番】射撃検定!
初めての実射訓練ということもあってナビクマ含めみんなガチガチに緊張していました。
「当たるかなー。全然当たらなかったらぶん殴られるのかな。。。」
「それはないでしょ。きっと当たるって!」
「わー、エアガンでよく撃ってたー」
「大丈夫だ。班長から教わった事をしっかりやれば当たるから、心配するな」
いつもは罵声ばっかり飛ばしてくる教官も今日は優しい言葉をかけてくれました。
うちの班長も
「うん。君たちは頑張って練習してきたからきっと当たるよー。」
いつも通りのふんわりと励ましてくれました。
少し緊張が解けてきたのか、皆やる気十分で射撃に臨みました。
目標は200m先の標的です。時間制限はなし。
射座(実射する場所)に上がると目に見えて張り詰めた空気を感じました。
するとコーチ(補助してくれる人)を担当してくれた他の班長が肩をもんでくれました。
「力入ってると当たらないぞ。周りは気にせず的だけ見てな。」
耳栓よし。装填よし、姿勢よし、見出しよし、いきまーす!
ドーーーンっ!!!
思った以上の反動と音にビックリしつつも体勢を修正しまた撃発。
見出し9発
伏撃ち5発×2
膝撃ち5発×2
合計29発撃って射座を後にしました。
結果
ビギナーズラックか50点満点中44点。
教官からは凄いぞ!準特級だ。素晴らしい!と褒められました。
自衛隊における射撃検定
参考
体力検定
射撃検定
格闘検定
自衛隊には年1回必ず受ける検定があります。
体力検定
射撃検定
格闘検定
地域によりスキー検定、水泳検定、他にも救急法検定、手りゅう弾投擲等色々あります。
この内、体力、射撃、格闘に関しては基準に到達出来ないと昇任が出来ないというデメリットがあります。
射撃検定不合格なら合格するまで撃たせるのが基本的なスタンスになります。
射撃検定は上級になるため、時間制限27秒に5発撃ち終わる必要があります。
当たらない時にやる事
ポイント
イメージトレーニング
鏡を見ながら立ち姿から射撃姿勢へ
何度も繰り返す
射撃訓練は体の動きとイメージを一致させる必要があります。
その為のイメージトレーニングはとても重要です。
自衛隊には生活隊舎、勤務隊舎に全身が写る大きな鏡があります。
空いてる時間を活用して、立ち姿から射撃姿勢に入るまでを何度も反復演練してください。
まずは自分の体に動きをインプットさせます。
そして射撃予習の際に銃を持って射撃姿勢を取るとしっくりきます。
その感覚を忘れないように、銃を格納した後も鏡の前で射撃姿勢の練習をしましょう。
姿勢がしっかりしていれば当たるようになります。
射撃検定の点数は成績に反映されますので、頑張ってくださいね。