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新隊員教育隊での出来事は陸自ナビクマの勤務経験に基づき、これから自衛官を目指す人に向けて一部脚色して書いています。
少々偏見も混ざっていますがご了承ください。
前回のお話はこちらから
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【事前にやるべき】新隊員教育隊その3体力検定1回目
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【出典】陸上自衛隊第36普通科連隊
【部隊の象徴】隊旗授与式
時系列が若干前後しますが、入隊式が終わるとそれぞれの区隊毎に隊旗が授与されます。
自衛隊は元より、古来から軍隊と呼ばれる集団では旗が精神的な支柱として重要視されてきました。
洋画「父親たちの星条旗」は第2次世界大戦中硫黄島での戦いを舞台にした映画です。
旗がどのような役割をしたか、国民に与える影響はどれ程のものだったのかをイメージしやすい作品ですので、良かったら是非視てくださいね。
新隊員教育隊でも区隊の象徴として旗を丁重に扱う事になります。
取締りと同様に順番で旗手が回ってきて、旗手になった方は区隊の先頭に立って旗を掲げ区隊を引っ張ります。
そしてここからが重要なのですが、旗に関するトラブルはかなり多いので旗手が回ってきた時以外にも気を使ってくださいね。
区隊旗を巡るトラブル
参考
置き方が悪い
雨の後の処理
無くさないように時折チェック
必ず念入りに申し送り
区隊旗授与式が終わり、早速うちの班のM君が旗手の勤務につきました。
M君はとても真面目なのですが、ちょっとだけ不器用かつ心配性。
前日に強面の教官から
「Mが明日の旗手か。いいか、絶対粗末に扱うなよ!」
かなり強く言われていた事もあってビクビクしてました。
ナビクマをはじめ皆で声を掛け合いますが、あまり耳に入ってない様子。
そして迎えた翌日の昼からM君は旗手として上番(勤務につく)しました。
【出典】陸上自衛隊レンジャー訓練
その日の午後は野外で分隊教練の訓練でした。
M君は区隊の先頭に立って旗を掲げ目的地に到着。
区隊旗が倒れないようにしっかりと地面に固定し、他の隊員と合流、分隊教練の訓練に参加しようとした時の事です。
ビュー ・・・ばたっ
すかさず飛ぶ教官、助教、班長の罵声。
「おいっMっっ!!!区隊旗倒れたぞ!〇〇区隊全滅だ!」
M君は真っ青になりながら
「す、すみません!すぐ直します!」
と駆け寄りますが、そうはいきません。
「おっせえんだよ!おめえのせいで区隊はもう全滅したんだよ!」
「はっ、はい!」
教官はヒートアップ。ナビクマ含め見ている候補生達はただオロオロするばかり。
「あーーあ。おめえら全員死んだからな。今日は生き返るためにエリクサー集めでもすっか!」
※エリクサー・・・RPGゲームの回復薬。使うと体力が全回復するような感じのアイテムです。
「なにぼけっとしてんだ。早く生き返って訓練したいならあの丘の上にあるエリクサー(葉っぱ)かき集めてもってこい!」
理不尽なペナルティゲームが始まりました。。。
エリクサー(葉っぱ)集めが終わり全員生き返り、分隊教練が再開しました。
M君は既に精神的にかなり参ってる状態です。
うちの班員なので皆でフォローしました。
分隊教練の訓練が終わって移動する時間になった時の事です。
M君が焦っています。
「えっ。。。何で???」
泣きそうになりながら旗がない事に気付いて探し始めました。
「おいっ、今度は何だ。おめえ旗無くしたのか!!」
また教官から罵声が飛んできました。。。
「だって、さっきまでここにあったんです。。。」
「おめえが目を離したからだろ!おう、全員集合!!これからお前らの大事な旗を捜索するぞー。見つかるまでぜってえ帰れねえからな!」
今度は旗の捜索が始まりました。
M君は目を真っ赤にしながらすみません、、、すみません、、、とつぶやくばかりでした。
結局1時間探して、丁度終礼前に教官が「あったぞー」と藪の中から取り出して終わりました。
M君は悪くないよ!次からは取られないように皆でカバーしよう。
教官達のやり方はどうであれ、区隊の意識が高まったのでした。
自衛隊での訓練は野外が多いので、雨の後の対応も重要です。
簡単にカビるので濡れた後はしっかり乾燥させる等の処置をしましょう。
旗手についた人は必ず後につく人に、やるべき事、失敗した事、上手くいったこと等をまとめて申し送りしましょう。
【自分と仲間を守る武器】銃貸与式
銃も区隊旗と同時期に1人に1丁貸与されます。
製造番号が明記されているので、誰にどの銃が貸与されたかがわかるようになっています。
旗と同様、銃を巡るトラブルも多いので要注意です。
貸与されたら返納するまでずーっと自分の銃と付き合います。
銃を巡るトラブル
参考
地面に落とす
部品の脱落
錆
銃が貸与されると銃を使った訓練がスタートします。
毎回武器庫から出庫して使用することになります。
手が滑った等、何らかの原因で銃を落とすと怒られます。
腕立て伏せ、かがみ跳躍、等の肉体的ペナルティはもちろん、繰り返し落としてた方は「銃とわたし」の題目で反省文原稿用紙10枚書いて提出しろ!と言われていた事もありました。
次に多いのが部品の脱落です。
野外訓練では必ず部品が無い!と騒ぐ事案が発生します。
写真のようによく脱落する箇所にはブラックテープを巻きつけて落ちないようにしますが、落ちる時は落ちます。
新隊員教育隊に限らず銃の部品は無くしたら見つかるまで捜索します。
教育隊では特に戦闘訓練で脱落することが多いので、脱落防止は確実にするのを忘れないでくださいね。
64式小銃も89式小銃も錆びます。
野外で雨に打たれれば錆びますし、何よりも人の汗で簡単に錆びます。
訓練開始以降は使用後必ず整備をします。
整備が甘く錆びた状態で格納しようとすると、、、やっつけられますのでご注意を!
旗と銃に関するトラブルのまとめ
旗、銃も自衛隊ならではです。
警察や皇宮護衛艦、海上保安庁等一部で武器を扱いますが、自衛隊程ではありません。
それだけに責任が重いです。
特に銃に関するトラブルは本人だけでは終わらないので、もし部品脱落した、壊れた(壊した)際は黙ってないですぐ報告してくださいね。
演習後に実は、、、脱落してました。と名乗り出た部隊の先輩は。。。部隊長から干されただけでなく、隊員からも非難の嵐でした。
悪い事こそ早めに報告です。